特集 —初診・救急外来で出合う—精神疾患と間違えやすい内科疾患
【各論】
Case 6 心は叫び、身体は囁く
小澤 廣記
1
1聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center
キーワード:
神経精神ループス
,
NPSLE
,
ステロイド精神病
,
進行性多巣性白質脳症
,
PML
,
抗リン脂質抗体症候群
,
APS
,
可逆性後白質脳症症候群
Keyword:
神経精神ループス
,
NPSLE
,
ステロイド精神病
,
進行性多巣性白質脳症
,
PML
,
抗リン脂質抗体症候群
,
APS
,
可逆性後白質脳症症候群
pp.276-280
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350030276
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Case
患者:24歳、女性。
既往歴・家族歴:特記すべき事項なし。
現病歴:受診の数週間前より、家族や友人から普段みられない異常行動があり、怒りやすくなったとの指摘を受けていた。さらに、近親者に対する激しい言語攻撃がみられ、「家族が自分を監視している」と訴えるようになり、次第に日常生活のなかで混乱や幻視がみられるようになった。
1週間前に近くの精神科で初診を受け、統合失調症の疑いと暫定診断され、抗精神病薬(クエチアピン50mg/日)を処方されたが、症状は改善せず、数日後に発熱と皮疹が出現。手や顔に発疹が広がり、関節痛も訴えるようになり、総合診療科を受診。精査加療目的で入院となった。
【入院時身体所見】
バイタルサイン:血圧110/70mmHg、脈拍数112回/分・整、呼吸数12回/分、体温38.2℃、SpO2 98%(室内気)
精神状態:幻視、妄想、混乱があり、本人からの病歴聴取が困難であった。
頭頸部:眼部:眼球結膜の充血・黄染なし、眼瞼結膜は蒼白、点状出血はなし。口腔内:硬口蓋に口内炎あり、う歯なし。頸部:両側頸部のリンパ節腫脹あり、甲状腺腫大なし。
胸部:異常心音なし、心雑音なし。
関節痛:両手指のMCP(中手指指節間)・PIP(近位指節間)関節と両膝関節に圧痛あり、腫脹なし。
皮膚:顔面・両側頰部に紅斑、両手指に紅斑が散在。

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